Review


“ここ数年来 私はピアニスト、川村真理の演奏活動を興味深く見守ってきました。
彼女の演奏会に接する度に彼女の演奏の美しさ、洞察力の深さに心を打たれるのです。
今回のCDの中でも あの同じ感動に出会えるのは幸せな事です。

ムソルグスキー「展覧会の絵」に於いては構成力、力強さ、情熱に加えて的確なエネルギーを供え しかも豊満な音質に充ち、
ドビュッシーに「版画~子供の領分」於いては優しさ 繊細さ 豊饒感 そして詩情に溢れており 想像の世界をより豊かにさせてくれるようです。

彼女の演奏はこまやかなピアノタッチで音質の輝きが発散され、しかも厳しさを秘めているのです。
この様な事が あまりにも高度な水準に達しているので これらの作品が 演奏するに於いては いかに難しいかを 忘れてしまう程です。
ここでは この特筆すべき 高度な しかもダイナミックなテクニック等全ては《音楽性》一つの為に 奉仕されている様です。

川村真理の源流である日本人としての情感 それに加え幼少の頃から育ち培われた フランスへの愛情が程よく融合、発酵され 彼女の演奏に独特の魅力を生み 音の魔術をももたらしているのでしょう。

この衝撃的なCD は今迄に存在するドビュッシー、ムソルグスキー作品の名演に匹敵する レコーディングと見なされる様になるのを確信しています。
ロシアの僧院 遥か遠くに佇む神秘的なアジアの塔...を思い浮かべさせる 音楽の魔法の旅...きっとあなたも私と同じ様にこの世界をさすらう事でしょう。
同じ喜び、同じ魅惑に包まれて...

このファンタスティックなピアニストの次のCDが待ち遠しい...”

アラン.クレムスキー